なんかいいよね花巻

観光地としてはもう一息だけど、知ってる人ははまってしまう花巻の小さな魅力の積み重ね。

星めぐりの歌で夜がはじまる

自分の住む地域の時報はなにか知っていますか?



国内外問わず、いろんな場所に住んだことがあるけれど、かなりの確率で、時刻を知らせるメロディーというものが、その土地土地にある。

 

小学生の頃なんかは、「17時のチャイムが聞こえたら帰りましょう」といったくらい、時計なんかどこにもない野原で遊んでいても、時刻を知らせてくれる音があった。

 

現在、花巻市に夜の訪れを告げるのは、宮沢賢治が作った「星めぐりの歌」。どうやら今の時期は19時になっているようだけれど、日没の時間が関係するかな?昔はもっと早かったような気もするんだけど…

もう、時計やスマホを見ながら動いちゃっているからね、時報なんて気にしなくなってしまっていたけれど、毎日毎日それは流れていて、きっと誰かの時刻を知らせる大事な音になっている。

 

それでも、時間を確認できるならまだいい。

 

時には、次々と流れてくる《とにかくやらなきゃならないこと》に必死になっていると、時計を確認する余裕すら失っていたりする。

 

「あれ、もうこんな時間。大変だ、あれもやらなきゃ…あ、でもまだこれが…」

こんなことは日常茶飯事だけど、いざ書いてみると、なんともせかせか暮らしているもんだと気づく。

 

「やることがあるうちが華だ」と言われることもあるし、とにかく忙しいってのもある意味贅沢かな?なんて、こじつけみたいに言い聞かせながら、あれもこれもと欲張って生きている。

 

そして、なんとなく一人で外にいるタイミングで、星めぐりのうたが空から聞こえてくることがある。今日がそんな日だった。

 

花巻市民にとっては、どんな童謡よりも耳に染み付いているかもしれないあのメロディーが、まだ暗くなりきっていない濃紺の空にポロンポロンと響く。

時報というわずかな時間に、1フレーズとかではなく1番丸々流れきってしまうほどの短い歌だけど、流れ始めると、耳が勝手に、聞き終わるまでメロディーに集中している。

 

久しぶりに聞いたな、と思うくらいなんだけど、実はなんだか嬉しがっているようでもある。

 

やまなしは、星めぐりの歌が大好きだ。

この歌の詞に、強いメッセージ性なんてない。共感する余地もない。ただただ星座の紹介文みたいな歌詞だ。この歌を歌いながら空を見上げても、上手に星はめぐれない(それはやまなしが勉強不足なだけだけど)。

でもそんなのとか全然関係なくて、この歌を聴くと落ち着くし、癒される。ほっとする。ちょっと嬉しくなる。

それだけで、ものすごく素敵な歌だと思える。

 

そんなこといいながら、時報にも気づかない日々を過ごしちゃうんだけど、でも、この歌が毎日流れている街にいられるのは、やっぱりなんか、ちょっと嬉しい。

 

んでばまず。